ようやく名刺ができまして人に差し出す機会も増えました。
最低限度の情報しか書かれていない簡素なものですが,
事務所名の字体に目がいくようです。
金文体といい,中国戦国時代の酒壺に刻まれていた文字をアレンジした字体です。
もともとの字体は解読困難な象形文字のようです。
これは弊所の設立と運営を手伝ってくださってる顧問の趣味です。
私も気にいっております。
さて,文字フォント(タイプフェイス・書体とも)
法的保護の局面では難しい問題があります。
著作権法,意匠法,不正競争防止法,そして民法・・
文字フォントには法的保護は認められないのが原則です。
文字は物事を伝えるための伝達ツールだからです。
絵画の絵具,彫刻の石のような位置づけ。ただし争いあり。
特定人に独占的に使用させるべきではないということが主な理由です。
しかしこれも「書」となると話は違ってきます。
これぐらいになると美的要素が顕著で著作物性も問題ない。
王羲之の書の写しは,同じ「之」でも異なり,書いた人の個性が強い。
※現在も著作物性が認められるわけではありません。
昭和書体株式会社これはアニメ鬼滅の刃で使われていた文字フォント
運筆やかすれ等に個性が認められます。
印刷用書体に著作物性が認められるためには,
従来の印刷用書体と比較して顕著な特徴を有するといった独創性を備え,
それ(フォント)字体が美術鑑賞の対象となりうる美的特性が必要とした判例があります。
文字は伝達ツールで,情報伝達機能を発揮する必要があります。
著作物性が認められるのは限定的でしょう。
字体そのものの美しさか,
字体が伝えようとしている概念なのか・・
そのフォントで書かれたものを見て何を感じるのか,
ということでしょう。