カテゴリー: 法律事務所

陣内法律事務所に関するブログ

陣内法律事務所も1周年

事務員さんらが弁護士会の研修に行くらしい。
熱心なことだ。
大阪の弁護士会は事務員研修が充実している。
弊所の常識が大阪弁護士会の非常識だったりしたら困るので,
外部とのつながりは持っておかないとな。

「先生は行かないんですか。研修と委員会。去年の今頃,言ってませんでした?しっかり勉強していかなあかん,って。」
まあ,言うとったやろな。
多分,多分やで・・
このままやったら・・
私はずっと研修と委員会に行かない気がする。
ここは事務員さんらを見習って,
行ってみようか。

開設1年目は暇なはずだった。
しかし,結構忙しかったな。

前の事務所の引継案件
格安で受けた破産の依頼者が引越しして管財人の事務所まで片道2時間超
依頼者の破産で報酬とんだ
報酬踏み倒し
赤字案件が多かった。
でも間違いなく経験にはなってる。
弁護士はトータルできちんと稼ぐことができればよい。
そう思ってやっていくか。

私の近影な。
事務所の近所の人が家で鯛を焼いてきてくれた。
嬉しい。夜食と次の日の朝ごはんにいただきました。
ありがとう。

経費削減のため食事会はラーメン屋の予定だったけど・・
1周年のお祝いを先輩弁護士からもらった。
で、事務員さんらとハタとかカメノテとか食べに行ってきた。
臨時収入で飲み会
そう考えると弁護士も自営業やな。


引き続き,
弁護士陣内優一をよろしくお願いします。

京橋賛歌(商人の街・京橋中央商店街)

事務員Mと大阪の京橋に行った。
法律相談を開催するらしい。
他人事みたいに言ってるけど,
開催するのはもちろん私だ。

大阪環状線や京阪電車の駅があり,
昔から開けている土地だな。
大阪以外の人もグランシャトーのCMは知っているだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=5W0zPH2dP1U

結構,このCMは好きだな。
大阪らしいリズム感
なんとなく漂う享楽
景気がよかった日本の象徴だな。
閉塞感などなく,
人が希望や夢をもって生きていた時代のように感じる。

そんな京橋。

ここは国道1号線できれいに隔てられる。
グランシャトーのある南側と北側
北側の方に京橋中央商店街がある。
昔からある地域の人のための商店街だ。

何年か後に
オフィス併設型のイオンモールができるらしい。
商店街の住民と話をしていて知った。
大型小売店舗の出店は届出制
届出→行政庁に一定の事項を通知するだけ
大型店舗の規制はいろいろと変わった。

昔は大規模な店舗の出店は百貨店法というのがあって許可制だった。
許可制→出店は原則禁止で個別の申請内容によって行政が禁止を解除

許可制から届出制になったのは規制緩和の趣旨
原則禁止の許可より届出の方が規制が緩い。
実際の運用は異なった。
ひと頃は地元の小売業者との協議がまとまらない限り,
届出を不受理とする運用がなされたのだ。
運用の目的は,小規模小売店舗の保護。
既存業者の経営を保護するための需給調整を行っていたのだ。

元々の規制緩和で大規模店舗の自由な出店ができるようになった。
自由な出店が認められると商店街が衰退。
廃業が相次ぎシャッター街になる。
大規模店舗も収益が下がると閉店して別の場所に出店。
行政の側からみると資源の流出と店舗跡地の問題が残る。
大規模店舗は地域より経済合理性だから,
地域に問題を残していったわけだ。

その土地に根付いている人を保護することが,
地域の繁栄につながるということだろう。

今は届出制の下,
大規模店舗は出店しやすい。
収益が継続して見込めるのであれば出店されることになるのだろう。

ただ,ここの商店街には,
大規模店舗に負けない何かがありそうだ。

グランシャトーもほとんどが廃業し,
かつての賑わいはどこかへ行った。

世の中は変わる。まさに生々流転だ。
万物の営みというのは一定のサイクルで繰り返されるらしい。
かつては土地の賑わいが失われることもあった。
そのたびに石碑に刻んで古き良き時代に戻そうとした先人もいた。
大阪の不屈の商魂だな。

法と道徳(MINAMATA)

ちょっと前まで法学部の学生だった事務員M
IT知識が豊富な最近の人だ。
古色蒼然をある種の美学と考える私とは対極で
議論していると面白い。

弁護士というのは法律を扱う仕事
解釈は種々あれど条文という形のあるものだ。
法と論理を駆使して仕事をしている。
ここでいう論理は社会科学分野特有のもので,
社会通念やら常識やらで間隙を埋めることはある。
しかし,きちんと説明し説得することに気持ちよさを感じたりもする。

そんな仕事をしている私は道徳の話が嫌いだ。
法律家が道徳を語ることに,
忌まわしさを感じるのだ。

事務員Мは映画 minamataを観たらしい。
それも2回。ユージンスミスの写真集も見せてもらった。


水俣病を扱った映画
製作と主演はジョニーデップ・音楽は坂本龍一。
ジャーナリストのユージン・スミスが水俣を訪れて,
メチル水銀に蝕まれた水俣の現状を写真に収めようと奔走する話らしい。
写真は雄弁だ。
信念のぶつかり合いや人の誇り,生命力。
被写体の歴史
何を夢見て誰を愛したのか,という人の人生
それが一枚に概括されている。

同業と水俣病の話をすると必ず刑法や行政法の判例の話になる。
最高裁まで争われた著名な判例が多くあるのが水俣病。
教科書に書いてあった4大公害病
判例百選掲載判例
それで知っているのが水俣病だ。
私も判例や教科書の知識しかなかった。
写真でみる水俣は,
私がそれまで見聞きしていた水俣とは違った。

公害病には行政の認定が必要になってくる。
法律上の確定があるまでは,
公害は公害ではないということ
それまでは社会的に許された事業活動なのだ。

水俣を見たユージンスミスは,
法律的に確定されなければ公害は犯罪ではないという道徳観こそが,
公害を起こす道徳観だといった。
当然,そのような道徳観が社会を支配しているわけではない。
しかし,
道徳は時にどこかへ行ってしまうことがある。
努々,忘れないようにしなければ。

ゴルゴさんの話

ゴルゴ13のさいとうたかを先生の訃報
ゴルゴ13は学ぶことが多い作品だ。

床屋や王将に行くと必ずゴルゴ
一話完結型の漫画は待ち時間にぱらぱらとな。
濡れ場的なシーンを見るときは,
本を90度ぐらいに閉じて周囲をきょろきょろ・・
今後も続いていくらしい。
分業制だからスピリットは確かに承継されているのだろう。

ゴルゴ13のストーリーは決まっている。
依頼者がゴルゴ13ことデューク東郷に仕事を依頼をする。
厳格なルール有
ゴルゴは困難を跳ねのけて奇跡のスナイプを決める。
依頼達成
こんな流れだ。
ストーリーを公募している時もあった。
タイムリーは話も多く世相を反映した作品もあった。

私はまだ弁護士になってそれほど立っていない。
しかし,ゴルゴ13で思い出す依頼者がいる。

私が1年目にもった国選事件の依頼者だ。

覚せい剤以外の薬物事犯でまだ年季は明けていない。
奴は被告人質問で今回は覚せい剤をしていないことを熱弁した。
前回と違って覚せい剤をしていないことを情状のつもりで言ったのだろう。
すると検察官から「違法薬物は覚せい剤だけではありません。」
と的確な指摘が入った。
食事にうるさく,刑務所はバターではなくマーガリンが出されるのを嫌っていた。
服役した後はたまに手紙をくれて,
班長になって作業服のベルトを作っているとか書いてきてたな。
私は嫌がらせのように恋愛小説や古典文学を差し入れてやった。
読んだかどうかはしらん。

奴は結構,新しいことが好きだった。
自分が入所していた多摩川少年院に手紙を出したりした。
後輩に向けて「俺のようになるな,多摩での関係は多摩で終わらせろ。」とな。
念のため情状の証拠として出した。
やはり,検察官から,
「少年院に手紙を書いてる場合じゃないですよ。」と言われた。

そんな奴には案外,文才があった。
弁護人の勧めに従い,
ゴルゴ13の新作ストーリーを書いた。
認め事件で取調べがなく,暇だったこともあるだろう。
内容は特殊詐欺を扱ったもので,
末端の受け子が捕まり,その家族が依頼者となり,
特殊詐欺の元締めを抹殺するというもの。
犯罪加害者の家族がテーマのよくある話。
私は宅下げしてもらって読んだ。
・・結構,面白かった。
組織内部での取り決めや連絡方法,
証拠の隠滅や金銭の分配・・
どこで取材したのだろうと思うぐらい,
具体的だった。
ストーリーはともかく,
組織犯罪の特色や内部の争いや奪い合い
不安や葛藤,良心の呵責などが書かれていた。
特に犯罪を行う人の中に,
正業,つまり普通に暮らす人に対する暗い羨望があった。
私には,ここが興味深かった。
同時に奴の才能に舌を巻いた。

面白い弁護活動だったな。
創作の中には作者の思いが何らかの形で出てくるもんだ。

被疑者の才能に気づかせてくれたゴルゴさん。
さいとう先生のご冥福をお祈りいたします。

持株比率が5050 ⑴

人間が意思決定ができないことを原因として動かなくなることがあまりない。
これ,動きの定義にもよるけど。
社会的に意味のある動き,と定義すればあり得るのかも知らん。

法人は意思決定ができず,
動けなくなることがあるらしい。

これは最近,相談を受ける問題。
会社のデッドロックという。

2人が議決権を50%ずつ保有する会社で,
意見が対立する場合が典型例
他に拒否権付種類株式の株主が常に拒否権を発動する場合にも生じる。
それと会社の全株保有株主が突然死して相続人がいない場合。
全株保有株主突然死事案は実際にあった。
会社内部の膠着状態は、大株主が認知症になった場合にも生じる。

案外,身近で起きる問題である。

株式会社の場合,株主総会の決議は過半数でとる(会社法309条1項)。
過半数だから50%超の決議が必要で,
50%ちょうどだと決議ができないわけだな。
・・で,何も決議ができない状態に陥る。
役員の選任も過半数で決議
会社の買収とか経営権の取得は役員の選解任が自由にできる状態を指す。
取締役を選任して業務執行をさせる状態だからな。
買収や経営権の取得は過半数(例えば持株比率51%)を目指すことになる。

さて,会社のデッドロック
最近たまに聞く問題。
100%保有株主が死んで2人が相続した場合に簡単に生じる。
100%保有株主が代表取締役というのはよくある。
さらに相続人2人の仲が悪いことも結構ある。
   →相続人が2派にわかれて50%ずつ保有,というのもありそう。
仲が良くも悪くもなかったが,
相続した株式と会社を巡って対立し,仲が悪くなることもよくある。
実はここ1年で何件か相談を受けた。
すでに生じたデッドロックの打開と将来生じる可能性があるデッドロック


問題は,デッドロックの処理だ。
タイムリーな話題のようで,結構議論されている。
もともとは合弁会社のデッドロック対策で発展した分野らしい。

何を保証したのかわからん

今週は裁判所に何回か赴きました。
遠方は早々にウェブ会議にしてもらいましたが,
他は出頭です。裁判所は徒歩圏内なので楽です。

最近,相続の相談を受けます。
比較的若い人も自分の相続のことを考えるようです。
最初はどこまで本気かわかりませんでしたが,
昨今の情勢からいろいろと考えるのでしょう。
何かあった時に迷惑をかけたくない,と。

迷惑というもの,
話を聞いていると自分の法定相続人を指すようです。
次に会社を経営している人は従業員と会社のこと。
債権者への迷惑はあまり考えないようです。
誰かが相続財産の中から清算してくれるだろうと。
この煩わしさも法定相続人の迷惑に含まれるようです。
遺言作成はそれほど難しいものではないです。
私は軽い気持ちで作成することを勧めます。

さて,
当然死ねばプラスもマイナスも相続されます。
自分が保証人となっている場合,
保証債務は保証人に相続されることになるのか。
基本的には相続されます。
相続人は被相続人(死んだ人)の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条ただし書き)。
しかし,保証債務の場合は責任の範囲について制限があります。
理由は保証人の保護です。
先日,話に出たのは不動産賃貸借の保証です。
(例:マンション入居時の連帯保証)
これは一定の範囲に属する不特定の債務の保証で,
根保証と呼ばれるものです(民法465条の2第1項)。
不動産賃貸借契約の場合は,賃貸借期間中に負担する一切の債務の保証。
信用保証ほどではありませんが,
保証人にとって予想外の債務となる場合があり,
保証人を保護する必要性が高い分野です。

改正法は,主債務の元本確定事由を定めました(民法465条の4第1項1号ないし3号)。
これにより保証債務の範囲も確定されることになります。
具体的には,債権者が保証人に強制執行した時や主債務者又は保証人が死亡した時です。
相談者はマンション入居時に子に保証人になってもらったそうですが,
相談者が死亡した時には元本が確定します。
※1 元本確定期日(民法465条の3)の規定は不動産賃貸借に適用なし。

元本の確定は,主たる債務者(賃借人)の死亡時点。
すると孤独死して発見が遅れ,
特殊清掃が必要となった場合の清掃費用はどうでしょうか。
これは賃借人の死亡後に発生していますので,
保証債務に含まれないことになります。
もっとも,個別の保証契約の趣旨に反する場合もあると思われますので,
裁判で争われることになるのではないかと予想しております。

※2 令和2年4月1日より前に保証契約が締結された場合に新法は適用されません(民法附則21条)。 

法人格の独立性

法人格否認の法理は,
株主と会社の関係が密接なケースで,
法人格の独立性を形式的に貫くことが正義に反する特定の事案で,
会社と背後の株主を同一視する法理です。

要するに,
特定の場合に会社に対する責任を背後の株主に追及する法理。
裁判例を調べていると,子会社の責任を親会社に追及する例もありました。
根拠は会社法3条(会社は、法人とする。)とされることが多いようです。
以前は民法の権利濫用の禁止を根拠として挙げられることもありました。

いずれも根拠が一般的抽象的です。
個別具体的な法律の規定では妥当な解決をみない場合,
理念や社会常識から解決を導き出す法理です。
これは最終的には裁判官の判断に委ねられます。
判例や裁判例の集積がある分野ですが,
最後の手段として主張されることが多いようです。
しかし,会社と株主は別です(会社法104条・株主の有限責任)。
法人格否認の法理はあくまで例外的な位置づけで,
会社に保証人でもない限り,株主は責任を負うことはありません。

前置きが長くなりました。
私は弁護士になって今年で3年目ですが・・

訴訟で法人格否認の法理を主張したことが1回
法人格否認の法理に反論したことが5回(うち3回は訴訟)あります。

結構,人から驚かれます。

教えに行ってる大学の学生に話しても同じ反応。

「(法人格否認の法理は)そんなに主張されるもんなん?」

私も未だに同じ考えです。
簡単に認められると,
何のために会社に固有の人格(法人格)認めているんだ,
ということになります。
法人制度の建前や先にお話しした株主有限責任です。

法人格否認の法理には2つのパターンがあります。


法人格の濫用(法人を不当な目的のために利用した場合)
法人格の形骸化(法人とは名ばかりで個人営業の場合等・子会社が親会社の一部門の場合)
いずれも法人格の独立性を貫くことが不当な場合です。

私が見たのは全て後者の形骸化事案です。
もっとも,形骸化事例には,法人格の濫用とはいえないものの,
不当に利用する意思が感じられる例もあります(形骸化しているから濫用した)。
当事者の言い分を聞いていますと,
「オーナー(背後の株主)がやったようなものだから,当然,責任も負うはずだ。」といいます。
この言い分を法的に構成したものは法人格否認の法理ということになります。


あくまで例外的な法人格否認の法理
しかし,多くの企業が法人格を否認されて責任を追及される危険をはらんでいます。

会社=企業オーナー(背後の株主)

原則と例外が逆転しています。
裁判所の判断が示されたものはまだありませんが,
形骸化事例の中に予防法務のヒントがあるとみています。




経営者保証

商売と無縁の家庭でも,
「保証人にはなったらあかん。」と周囲の人から言われました。

実際は,人生の局面で保証人を立てるように求められることはあります。
これはなかなか頼みにくい。
しかし,事業の継続のためには資金調達も必要です。
資金調達のためには借入,そして保証が必要となってきます。

保証契約も民法改正で少し変わりました。
保証契約の書面要件は平成16年改正です。実際には保証契約が作成される場合がほとんどでしょうが,それまでは書面を作成しなくても保証契約は成立しました。
そして,今回の改正。
保証契約の改正の歴史は,
保証意思(保証債務を履行する意思)の確認の歴史です。


保証,とりわけ個人保証(保証人が法人ではなく個人)の場合,
情義(断りにくい筋から迷惑をかけないと言われ)
軽率(ついつい軽率に)
未必(自分が責任を負う事態にはならないだろう)
の流れで保証人になってしまうのです。
あとは金融系Vシネでよくある展開です。
自分が借りたわけではないのに返済義務。
保証債務の履行責任とはそういうもので,
理不尽さを帯びたものです。

今回は事業債務の保証についてお話しします。
※事業債務→貸金等債務(主に民法465条の3に出てくる債務で金銭消費貸借契約に基づく貸金債務。売買代金債務や準消費貸借契約に基づく債務は含まない。消費貸借契約に基づく貸金債務を念頭に置いているのは,よく使われて金額が高額になることが多く保証人保護の必要性が高いから)を念頭に置いて説明します。

事業債務は金額が大きい。
さらに事業の不調は突然やってくる。
保証人にとって危険なので特別な規定を設ける。という流れの改正です。
ポイントは2点
①主債務者の情報提供義務(465条の10
②公正証書による保証意思の確認(465条の6

①は主債務者から保証人への情報提供で,内容は主債務者の財産状況や他の担保に関する事項です。
怠った場合,保証人は保証契約を取消すことができます。
保証契約書には次のような規定を設けることになります。
第〇条(債務者の情報提供義務)→表明保証条項です。
 主債務者は,民法第465条の10第1項各号に規定する情報を保証人に提供したこと,及びこの情報が真実であることを,表明し保証する。

②は保証契約に先立って,保証意思を公正証書で確認することです。
この公正証書を保証意思宣明公正証書,といいます。
保証契約書には次のような規定を設けることになります。
第〇条(公正証書による保証意思の確認)
 保証人は,保証契約の締結に先立ち,民法465条の6第1項及び第2項に従い,令和〇年〇月〇日付公正証書により,保証債務を履行する意思を表示したことを確認する。
保証意思宣明公正証書は保証契約書とは別です。また,公正証書には執行認諾文言(直ちに強制執行に服する旨の陳述)を入れたくなりますが,できないと考えられております。保証意思宣明公正証書は執行証書にはならないということです。ただ,これは法律上,禁止されているものではありません。今後の実務の運用を見ていく必要なあるでしょう。

②の例外が経営者保証です。
経営者が会社等の債務を保証する場合,保証意思宣明証書の作成は不要です。
経営者の範囲は,465条の9の通りです。
役員と実質的な経営者(株式会社の場合は議決権の過半数保有)です。
それと,主債務者と共同で事業を行う配偶者も含まれます。これは実務上の要請です。
従来から融資の際に経営者保証を求めることは必ずしも適切ではないと言われ,立案段階でも議論されました。
会社が破産する場合に経営者も破産することになり,
思い切った事業展開を委縮させ早期の事業再生を阻むことになるというのが理由。
一方でモラルハザードの問題もありました。
有限責任(法人と経営者の責任は別)と経営者による財産浪費の問題です。
会社の経営者の責任は別なのに,経営者が会社財産を個人的使途に用いる。

その結果,経営者保証は従来と同じです。
今回紹介した改正は,事業債務を経営者(465条の9に定める者)以外が保証する場合に意味を持つことになります。



所有者不明の土地(1)

所有者不明の土地を解消するための法整備が進んでいます。
何でも明確するのが流行っているようです。
不動産登記簿は一般に公開されております。
で,登記簿の権利部(甲区)の権利者その他の事項を確認すると,どこの誰が所有者かがわかります。
マンション買ったらナントカ工務店から,売ってくださいと手紙が来たりします。
これは,登記簿を確認しているのですね。

所有者は登記簿を確認すればわかるのに,所有者不明。
ここでいう所有者は登記名義人のことです。
登記上の所有者はとっくに亡くなっていて,相続が何回かあって,現在は多数人の共有というパターンが多いです。
単に登記簿上の住所に住んでおらず所在不明という場合もあります。
たまに,「隣接地の所有者をご存じの方はご連絡ください。薄謝進呈。」と書かれた看板をみることがありますが,あれも所有者が不明の土地なのでしょう。
多くの場合は,相続登記が未了の場合です。
相続人が明らかで特に問題がないと考えられていた場合,家督相続が行われていた時代にもあったようです。
相続人が多数で誰も相続登記することを言い出さない場合にも起こりえます。

実際の所有者が不明ですと,土地取引や公共事業が円滑に進まなかったり,
適切な管理が行われず,荒廃したりします(雑草が茂ったり不法投棄物が放置されたり)。
空き家問題ほどの悪影響がないとしても,何らかの法整備が必要な分野でした。

そこでできた法律が,
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(所有者不明土地法)です。
この法律は所有者不明土地の円滑な利用を進めるための法律です。
併せて不動産登記制度の見直し(相続登記や住所変更登記の義務化・簡素化等)も行われました。
所有者不明土地は,法律に定義があり、
「所有者の全部または一部を相当な努力を払って探索しても確知することができない一筆の土地」をいいます(所有者不明土地法2条1項)。
相当な努力が払われたといえるかどうかは,施行規則1条1号ないし5号の通りです。
要するに,所有者を辿ることができるところまで辿ったかどうか,
で決めるようです。

関西は旧盆

ここ最近は雨のせいか蝉の声を聞いてない。

数珠を操るような生命力あふれる蝉の声
アスファルトの照り返し
眩い白さの夏雲
それが大阪の夏なんだけどな。

今日からお盆らしい。
私は特にお盆特有の習慣がないのでいつも通りです。
私が働き始めたことろは,お盆には帰省する人がそこそこいた。
だんだんとお盆に帰省する若い人は減ってきたな。
最近は新型コロナのこともあって,その傾向が顕著だな。

まだ事務所ホームページも公開していないし,一般からの問い合わせはないやろな。
何かあったら直接,連絡ください。
事務所電話は一応転送電話にしております。