カテゴリー: 商人支援

京橋賛歌(商人の街・京橋中央商店街)

事務員Mと大阪の京橋に行った。
法律相談を開催するらしい。
他人事みたいに言ってるけど,
開催するのはもちろん私だ。

大阪環状線や京阪電車の駅があり,
昔から開けている土地だな。
大阪以外の人もグランシャトーのCMは知っているだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=5W0zPH2dP1U

結構,このCMは好きだな。
大阪らしいリズム感
なんとなく漂う享楽
景気がよかった日本の象徴だな。
閉塞感などなく,
人が希望や夢をもって生きていた時代のように感じる。

そんな京橋。

ここは国道1号線できれいに隔てられる。
グランシャトーのある南側と北側
北側の方に京橋中央商店街がある。
昔からある地域の人のための商店街だ。

何年か後に
オフィス併設型のイオンモールができるらしい。
商店街の住民と話をしていて知った。
大型小売店舗の出店は届出制
届出→行政庁に一定の事項を通知するだけ
大型店舗の規制はいろいろと変わった。

昔は大規模な店舗の出店は百貨店法というのがあって許可制だった。
許可制→出店は原則禁止で個別の申請内容によって行政が禁止を解除

許可制から届出制になったのは規制緩和の趣旨
原則禁止の許可より届出の方が規制が緩い。
実際の運用は異なった。
ひと頃は地元の小売業者との協議がまとまらない限り,
届出を不受理とする運用がなされたのだ。
運用の目的は,小規模小売店舗の保護。
既存業者の経営を保護するための需給調整を行っていたのだ。

元々の規制緩和で大規模店舗の自由な出店ができるようになった。
自由な出店が認められると商店街が衰退。
廃業が相次ぎシャッター街になる。
大規模店舗も収益が下がると閉店して別の場所に出店。
行政の側からみると資源の流出と店舗跡地の問題が残る。
大規模店舗は地域より経済合理性だから,
地域に問題を残していったわけだ。

その土地に根付いている人を保護することが,
地域の繁栄につながるということだろう。

今は届出制の下,
大規模店舗は出店しやすい。
収益が継続して見込めるのであれば出店されることになるのだろう。

ただ,ここの商店街には,
大規模店舗に負けない何かがありそうだ。

グランシャトーもほとんどが廃業し,
かつての賑わいはどこかへ行った。

世の中は変わる。まさに生々流転だ。
万物の営みというのは一定のサイクルで繰り返されるらしい。
かつては土地の賑わいが失われることもあった。
そのたびに石碑に刻んで古き良き時代に戻そうとした先人もいた。
大阪の不屈の商魂だな。

持株比率が5050 ⑴

人間が意思決定ができないことを原因として動かなくなることがあまりない。
これ,動きの定義にもよるけど。
社会的に意味のある動き,と定義すればあり得るのかも知らん。

法人は意思決定ができず,
動けなくなることがあるらしい。

これは最近,相談を受ける問題。
会社のデッドロックという。

2人が議決権を50%ずつ保有する会社で,
意見が対立する場合が典型例
他に拒否権付種類株式の株主が常に拒否権を発動する場合にも生じる。
それと会社の全株保有株主が突然死して相続人がいない場合。
全株保有株主突然死事案は実際にあった。
会社内部の膠着状態は、大株主が認知症になった場合にも生じる。

案外,身近で起きる問題である。

株式会社の場合,株主総会の決議は過半数でとる(会社法309条1項)。
過半数だから50%超の決議が必要で,
50%ちょうどだと決議ができないわけだな。
・・で,何も決議ができない状態に陥る。
役員の選任も過半数で決議
会社の買収とか経営権の取得は役員の選解任が自由にできる状態を指す。
取締役を選任して業務執行をさせる状態だからな。
買収や経営権の取得は過半数(例えば持株比率51%)を目指すことになる。

さて,会社のデッドロック
最近たまに聞く問題。
100%保有株主が死んで2人が相続した場合に簡単に生じる。
100%保有株主が代表取締役というのはよくある。
さらに相続人2人の仲が悪いことも結構ある。
   →相続人が2派にわかれて50%ずつ保有,というのもありそう。
仲が良くも悪くもなかったが,
相続した株式と会社を巡って対立し,仲が悪くなることもよくある。
実はここ1年で何件か相談を受けた。
すでに生じたデッドロックの打開と将来生じる可能性があるデッドロック


問題は,デッドロックの処理だ。
タイムリーな話題のようで,結構議論されている。
もともとは合弁会社のデッドロック対策で発展した分野らしい。

法人格の独立性

法人格否認の法理は,
株主と会社の関係が密接なケースで,
法人格の独立性を形式的に貫くことが正義に反する特定の事案で,
会社と背後の株主を同一視する法理です。

要するに,
特定の場合に会社に対する責任を背後の株主に追及する法理。
裁判例を調べていると,子会社の責任を親会社に追及する例もありました。
根拠は会社法3条(会社は、法人とする。)とされることが多いようです。
以前は民法の権利濫用の禁止を根拠として挙げられることもありました。

いずれも根拠が一般的抽象的です。
個別具体的な法律の規定では妥当な解決をみない場合,
理念や社会常識から解決を導き出す法理です。
これは最終的には裁判官の判断に委ねられます。
判例や裁判例の集積がある分野ですが,
最後の手段として主張されることが多いようです。
しかし,会社と株主は別です(会社法104条・株主の有限責任)。
法人格否認の法理はあくまで例外的な位置づけで,
会社に保証人でもない限り,株主は責任を負うことはありません。

前置きが長くなりました。
私は弁護士になって今年で3年目ですが・・

訴訟で法人格否認の法理を主張したことが1回
法人格否認の法理に反論したことが5回(うち3回は訴訟)あります。

結構,人から驚かれます。

教えに行ってる大学の学生に話しても同じ反応。

「(法人格否認の法理は)そんなに主張されるもんなん?」

私も未だに同じ考えです。
簡単に認められると,
何のために会社に固有の人格(法人格)認めているんだ,
ということになります。
法人制度の建前や先にお話しした株主有限責任です。

法人格否認の法理には2つのパターンがあります。


法人格の濫用(法人を不当な目的のために利用した場合)
法人格の形骸化(法人とは名ばかりで個人営業の場合等・子会社が親会社の一部門の場合)
いずれも法人格の独立性を貫くことが不当な場合です。

私が見たのは全て後者の形骸化事案です。
もっとも,形骸化事例には,法人格の濫用とはいえないものの,
不当に利用する意思が感じられる例もあります(形骸化しているから濫用した)。
当事者の言い分を聞いていますと,
「オーナー(背後の株主)がやったようなものだから,当然,責任も負うはずだ。」といいます。
この言い分を法的に構成したものは法人格否認の法理ということになります。


あくまで例外的な法人格否認の法理
しかし,多くの企業が法人格を否認されて責任を追及される危険をはらんでいます。

会社=企業オーナー(背後の株主)

原則と例外が逆転しています。
裁判所の判断が示されたものはまだありませんが,
形骸化事例の中に予防法務のヒントがあるとみています。




経営者保証

商売と無縁の家庭でも,
「保証人にはなったらあかん。」と周囲の人から言われました。

実際は,人生の局面で保証人を立てるように求められることはあります。
これはなかなか頼みにくい。
しかし,事業の継続のためには資金調達も必要です。
資金調達のためには借入,そして保証が必要となってきます。

保証契約も民法改正で少し変わりました。
保証契約の書面要件は平成16年改正です。実際には保証契約が作成される場合がほとんどでしょうが,それまでは書面を作成しなくても保証契約は成立しました。
そして,今回の改正。
保証契約の改正の歴史は,
保証意思(保証債務を履行する意思)の確認の歴史です。


保証,とりわけ個人保証(保証人が法人ではなく個人)の場合,
情義(断りにくい筋から迷惑をかけないと言われ)
軽率(ついつい軽率に)
未必(自分が責任を負う事態にはならないだろう)
の流れで保証人になってしまうのです。
あとは金融系Vシネでよくある展開です。
自分が借りたわけではないのに返済義務。
保証債務の履行責任とはそういうもので,
理不尽さを帯びたものです。

今回は事業債務の保証についてお話しします。
※事業債務→貸金等債務(主に民法465条の3に出てくる債務で金銭消費貸借契約に基づく貸金債務。売買代金債務や準消費貸借契約に基づく債務は含まない。消費貸借契約に基づく貸金債務を念頭に置いているのは,よく使われて金額が高額になることが多く保証人保護の必要性が高いから)を念頭に置いて説明します。

事業債務は金額が大きい。
さらに事業の不調は突然やってくる。
保証人にとって危険なので特別な規定を設ける。という流れの改正です。
ポイントは2点
①主債務者の情報提供義務(465条の10
②公正証書による保証意思の確認(465条の6

①は主債務者から保証人への情報提供で,内容は主債務者の財産状況や他の担保に関する事項です。
怠った場合,保証人は保証契約を取消すことができます。
保証契約書には次のような規定を設けることになります。
第〇条(債務者の情報提供義務)→表明保証条項です。
 主債務者は,民法第465条の10第1項各号に規定する情報を保証人に提供したこと,及びこの情報が真実であることを,表明し保証する。

②は保証契約に先立って,保証意思を公正証書で確認することです。
この公正証書を保証意思宣明公正証書,といいます。
保証契約書には次のような規定を設けることになります。
第〇条(公正証書による保証意思の確認)
 保証人は,保証契約の締結に先立ち,民法465条の6第1項及び第2項に従い,令和〇年〇月〇日付公正証書により,保証債務を履行する意思を表示したことを確認する。
保証意思宣明公正証書は保証契約書とは別です。また,公正証書には執行認諾文言(直ちに強制執行に服する旨の陳述)を入れたくなりますが,できないと考えられております。保証意思宣明公正証書は執行証書にはならないということです。ただ,これは法律上,禁止されているものではありません。今後の実務の運用を見ていく必要なあるでしょう。

②の例外が経営者保証です。
経営者が会社等の債務を保証する場合,保証意思宣明証書の作成は不要です。
経営者の範囲は,465条の9の通りです。
役員と実質的な経営者(株式会社の場合は議決権の過半数保有)です。
それと,主債務者と共同で事業を行う配偶者も含まれます。これは実務上の要請です。
従来から融資の際に経営者保証を求めることは必ずしも適切ではないと言われ,立案段階でも議論されました。
会社が破産する場合に経営者も破産することになり,
思い切った事業展開を委縮させ早期の事業再生を阻むことになるというのが理由。
一方でモラルハザードの問題もありました。
有限責任(法人と経営者の責任は別)と経営者による財産浪費の問題です。
会社の経営者の責任は別なのに,経営者が会社財産を個人的使途に用いる。

その結果,経営者保証は従来と同じです。
今回紹介した改正は,事業債務を経営者(465条の9に定める者)以外が保証する場合に意味を持つことになります。



大阪の商人さん

天神橋筋商店街

弊所の商人支援
何をするかはまだ構想中です。
商人ってのは商法に規定があって,自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいうらしい(商法4条1項)。
で,商人が行う売買などの商行為は一般人の取引と異なる場合があります。
ちなみに会社が事業のために行う行為は商行為です。

法律上の規定はともかく,弊所の商人支援の商人は,あきんど,の方がしっくりきます。
大阪の商人さんらの人情と商魂 好きなんですよ。
事業の名称や由来,歴史なんかをお聞きすると,夢とか信念,情熱が伝わってきます。
これは事業も人と同じで生まれてから消滅するまで,多くの人と関わり,付加価値を提供するからでしょう。
私もこうして事務所を構えることになり,その思いが少しづつではありますがわかるようになった気がします。
少しづつですが,話をしていきたいと考えております。
弊所が提供できる付加価値についても随時。