所有者不明の土地を解消するための法整備が進んでいます。
何でも明確するのが流行っているようです。
不動産登記簿は一般に公開されております。
で,登記簿の権利部(甲区)の権利者その他の事項を確認すると,どこの誰が所有者かがわかります。
マンション買ったらナントカ工務店から,売ってくださいと手紙が来たりします。
これは,登記簿を確認しているのですね。
所有者は登記簿を確認すればわかるのに,所有者不明。
ここでいう所有者は登記名義人のことです。
登記上の所有者はとっくに亡くなっていて,相続が何回かあって,現在は多数人の共有というパターンが多いです。
単に登記簿上の住所に住んでおらず所在不明という場合もあります。
たまに,「隣接地の所有者をご存じの方はご連絡ください。薄謝進呈。」と書かれた看板をみることがありますが,あれも所有者が不明の土地なのでしょう。
多くの場合は,相続登記が未了の場合です。
相続人が明らかで特に問題がないと考えられていた場合,家督相続が行われていた時代にもあったようです。
相続人が多数で誰も相続登記することを言い出さない場合にも起こりえます。
実際の所有者が不明ですと,土地取引や公共事業が円滑に進まなかったり,
適切な管理が行われず,荒廃したりします(雑草が茂ったり不法投棄物が放置されたり)。
空き家問題ほどの悪影響がないとしても,何らかの法整備が必要な分野でした。
そこでできた法律が,
「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(所有者不明土地法)です。
この法律は所有者不明土地の円滑な利用を進めるための法律です。
併せて不動産登記制度の見直し(相続登記や住所変更登記の義務化・簡素化等)も行われました。
所有者不明土地は,法律に定義があり、
「所有者の全部または一部を相当な努力を払って探索しても確知することができない一筆の土地」をいいます(所有者不明土地法2条1項)。
相当な努力が払われたといえるかどうかは,施行規則1条1号ないし5号の通りです。
要するに,所有者を辿ることができるところまで辿ったかどうか,
で決めるようです。